奉事(まつりごと)

私たちが奉事を大切にしている理由

神様に工事安全と家の繁栄を願います

私たちが奉事を大切にしている理由

日本建築は神道と深い関わりがあります。その一つが「奉事(まつりごと)」と呼ばれる大工の秘術です。「奉事」は地鎮祭や上棟式など、神道に関係する祭り事の総称です。私たちはそれを大工の知恵の結晶として何より重んじています。大工の原型は、木工(こだくみ)と呼ばれる古建築を手掛けた職人です。日本建築の歴史は、飛鳥文化の時代まで遡りますが、今の仕組みの発祥は聖徳太子(仮設)とも言われています。まさに私たちは「和の国の長い歴史を背負ったプロの職人」なのです。
最近は「厄日」や「六曜吉凶」さえも気にせず、工事を開始するようになりました。また、住宅に「神棚」を持たない家庭も多く見受けられます。日本古来から伝わる大切な伝統が失われつつあるように感じます。
私たちは神棚の設置や上棟式を推奨する一方、災いを防ぐために着工前の「奉り事」を行います。その儀式を通じて、お客様の大切な家と土地をしっかりとお守り頂けるよう神様にお伺いを立て、お清めをしてから工事に取り掛かります。

地鎮祭

地鎮祭は何のために行なうかご存知でしょうか?
安全に工事が進むことはもちろん、建主のご家族が幸せに暮らせるように土地の「産土神さま」にお伺いを立てるために行います。建物を建築する上で欠かせない厳かな儀式です。
土地は神様にお借りしているものです。伝統に沿った儀礼を尽くし、神様にご挨拶をすることで、土地を守る神様に思いが届くと私たちは考えます。

上棟式

上棟式は今後の家内安全を祈願する大事な儀式です。それは大工の棟梁が執り行なう慣わしとなっています。私たち大工には「大工の神」という崇拝する神様がいます。

神棚と「厄日」、「六曜吉凶」

今ではあまり見かけなくなりましたが、私たちは神棚の設置も薦めております。日本の神道は歴史が深く、人の生き方が詰まっていると言っても過言ではありません。最近は契約日も含め、暦を気にせず工事を進める風潮があります。しかし、暦には建築にとって大凶といわれる三隣亡などの厄日があります。三隣亡と呼ばれる大凶日に建築をすれば、三軒両隣まで焼き滅ぼすと言われるほどです。私たちは「厄日」や「六曜吉凶」をも重んじることで、お客様との気持ちを清らかにし、安心して気持ちよく工事を進めて参ります。
生活様式が洋風が主体となっている現在においても、日本人として忘れてはならないものがあります。それは「日本の心」です。私たちは先代の伝統を引き継ぎ、純粋で真っ直ぐな感謝の「心」で取り組みます。お引き渡し後も、皆様が明るく幸せな家づくりが出来るよう「心」よりお祈りいたしております。

大工の神をご紹介

ここまでの話に出てきたように、「大工の神」という神様がいます。皆さん、古事記をお読みになったことはありますか?そこに登場している神様をご紹介いたします。

天御中主神(あまのみなかぬし)

天地始めて開けたるときに高天原に最初に生まれた神。いわば日本の神の元始めの神です。古事記では最初に日本に生まれた神様で、天地創造の神様として記されています。家をお守り頂く神様としても知られています。

思兼神(おもいかね)

知の神様で規矩術の祖神と言われている神。天照大神様が天の岩戸にお隠れになった際、世の中は暗黒に包まれ、悪霊が溢れ返ってどうしようもなくなりました。天照大神様を岩戸から出そうと知恵を絞り、見事外に出した神様です。私たち大工の基本の技に関係のある神様です。規=コンパス、矩=直角定規(さしがね)、準=水準器、縄=下げふり縄(墨縄)といった大工の基本を表しています。

手置帆負神(たおきおいのみこと), 手置帆負神(たおきおいのみこと), 彦狭知神(ひこさしりのみこと)

天目一筒神(あめのまのひとつのかみ)が作った神斧を持ち、山に入り、木を伐採し、柱桁などの造り始めの神。工匠守護の神です。

天目一筒神(あめのまひとつのかみ)

神代の古にて刀、斧類の鉄器を作り始めた神。鉄工の神でもあります。

五帝大竜神

家を守る神であり、鎮火防火を司る神。東西南北中央の守護神として、青帝大竜神は東に、赤帝大竜神は南に、白帝大竜神は西に、黒帝大竜神は北に、黄帝大竜神は中央に位置します。

岡象女神(みずはのめのめがみ)

家を守る神。伊耶那美命が火之迦具土神を産み、病に伏せていたとき、尿として生まれた神です。水を司る神様でもあります。